玄米と米糠(胚芽・表皮)を麹菌で発酵させた食品FBRA(ふぶら)の学術研究
FBRA(ふぶら)には、ラットの大腸炎を緩和する作用があること示されました。
※この結果は直ちにヒトに適応できるものではありません。
発酵玄米のDSS誘発急性大腸炎に対する抑制作用
Inhibitory Effects of Fermented Brown Rice on Induction of Acute Colitis by Dextran Sulfate Sodium.Kataoka K. et al., Digestive Diseases and Sciences , 2008
徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 生体制御医学講座 分子細菌学分野
大腸炎を誘発する薬剤(DSS)を使った大腸炎の発症を、FBRA(ふぶら)が抑えるかどうかを調べました。ラットを以下の3つのグループに分け、大腸炎の「びらん面積」と「炎症スコア(炎症の度合い)」を比較しました。
FBRA(ふぶら)のない普通食と水を与えたグループ
FBRA(ふぶら)のない普通食とDSSを含む水を与えたグループ
FBRA(ふぶら)を10%含む餌とDSSを含む水を与えたグループ
FBRA(ふぶら)を10%含む餌を食べさせると、大腸炎の「びらん」面積が小さくなることがわかりました(図1)。また、炎症の度合いを示す「炎症スコア」が低下していました(図2)。そのほかにも、血便症状、腸炎に伴う悪玉菌の増加、善玉菌の減少も緩和されていました。
細菌による感染・外傷など身体が有害な刺激を受けた時、傷害から体を防御しようと免疫応答が働きます。その際に生体に出現する現象を炎症と呼びます。主な症状には下記の5つがあります。
※(1)~(4)を「炎症の4徴候」、(5)を含めて「炎症の5徴候」とも呼ばれています。
マクロファージやマスト細胞は、傷害・異物を見つけると「炎症性サイトカイン」という物質を作ります。これを感知した血管上皮細胞には、血中の免疫細胞を呼び寄せる「シグナル」ができます。
「シグナル」に触れた血中の免疫細胞は、血管上皮細胞の間を通り抜け、傷害部分に集まり、有害物・異物を攻撃します。
生体内外からの様々なストレスにより、炎症が起こります。炎症が起きた細胞には「活性酸素」などが発生します。これらの物質は、遺伝子に異常を引き起こすため、がんを抑制する遺伝子にも異常を引き起こし、がんの発生に繋がると考えられています。さらに炎症時に作られる「炎症性サイトカイン」も、がんの増加や転移などを促進すると考えられています。
炎症から発がんに移行する例としては、潰瘍性大腸炎による大腸がん、肝炎ウイルスによる肝発がんなどがあります。