玄米と米糠(胚芽・表皮)を麹菌で発酵させた食品FBRA(ふぶら)の学術研究
FBRA(ふぶら)にはラットの前立腺がんの進行を遅延する作用がある事が示されました。
※この結果は直ちにヒトに適応できるものではありません
Preventive Effects of Fermented Brown Rice and
Rice Bran against Prostate Carcinogenesis in TRAP Rats
Kuno T. et al., Nutrients, 2016.
生まれつき前立腺がんが発症するラット(TRAPラット)を使用して、FBRA(ふぶら)が前立腺がんの発生と進行を抑えるかどうかを調べました。
FBRA(ふぶら)を10%含むエサを食べさせたラットは、前立腺がん(より進行した状態)の割合が減少し、低異型度上皮内腫瘍(進行が進んでいない状態)の割合が増加しました。
また、がんの進行を抑えるメカニズムを調べたところ、下記のことが示唆されました。
今回使用したTRAPラットは遺伝子を改変し、生まれながらにして前立腺特異的にDNA修復、細胞増殖停止、アポトーシスなどの細胞増殖サイクルを制御するタンパク質の働きが抑えられているラットです。
そのため、異常細胞を除去する機能が正常に働かず、どんどん増殖してしまうため、前立腺がんが必ず発生してしまいます。一般的に15週齢から前立腺の上皮内がんが発生するといわれています。
「がん」とは、細胞増殖が自律的に制御されなくなった細胞の集団のなかで、周りの組織に悪影響を与える細胞集団のこと。「悪性腫瘍」とも呼びます。また、周りの組織に悪影響を与えないものは「良性腫瘍」「異形成」「ポリープ」などと呼ばれています。
多くのがんは正常な組織から突然発生するわけではなく、「前がん病変」や「良性腫瘍」を経て段階的にがん化すると考えられています(多段階発がん説)。「前がん病変」はある特性の遺伝子に突然変異が生じて発生します。この細胞に更に突然変異が起こり、遺伝子の異常が蓄積することで、「良性腫瘍」を経て「悪性腫瘍」へと進行すると考えられています。
人は通常に生活していても、毎日数千個単位で遺伝子の突然変異が生じていると言われます。しかし健康な人の場合は、細胞の自己修復や免疫系による排除が行われるので、直ぐにがん化する訳ではありません。
しかし、一度がん化するとその後の経過は早く数年で進行がんとなり転移を起こします。
※形式上順番に記載していますが、異形成と上皮内がんはしばしば共存するので、両者の間は必ずしも明瞭な区別がつけられない場合が多いです