玄米と米糠(胚芽・表皮)を麹菌で発酵させた食品FBRA(ふぶら)の学術研究
FBRA(ふぶら)には、マウスの炎症性発がんを抑制する作用があることが示されました。
※この結果は直ちにヒトに適応できるものではありません。
玄米米糠麹は炎症細胞の浸潤阻害によりマウスの炎症関連発がんを予防する Fermented Brown Rice and Rice Bran with Aspergillus oryzae (FBRA) Prevents Inflammation-Related Carcinogenesis in Mice, through Inhibition of Inflammatory Cell Infiltration
Okada F. et al., Nutrients, 2015
第34回FBRA研究会発表資料
悪性度の極めて低い腫瘍細胞(QR-32細胞)を染み込ませたゼラチンスポンジを、マウスの皮下に移植すると炎症を誘発し、その後腫瘍が形成されます。この実験モデルを用いて、FBRA(ふぶら)に炎症性発がんを予防する効果があるかを調べました。
あらかじめFBRA(ふぶら)を摂取させたマウスに、ゼラチンスポンジと腫瘍細胞を皮下移植しました。その後、ゼラチンスポンジ内の炎症性細胞の数を調べました。 この結果、FBRA(ふぶら)を摂取したマウスでは、炎症性細胞の数が抑えられていました。
マウスA普通食
マウスB普通食+5%FBRA(ふぶら)
マウスC普通食+10%FBRA(ふぶら)
※FBRA(ふぶら)の摂取は移植の2日前から
炎症に関わらない細胞(腹腔内細胞・末梢血白血球)にはFBRA(ふぶら)が影響しません。炎症が起きている組織にのみ、FBRA(ふぶら)が作用しています。
また、炎症に関連する遺伝子を調べてみたところ、炎症時に上昇するTNF-αとMac-1の発現もFBRA(ふぶら)の摂取によって低下していました。
あらかじめFBRA(ふぶら)を摂取させたマウスに、ゼラチンスポンジと腫瘍細胞を皮下移植しました。
その後、腫瘍の発生率を調べました。FBRA(ふぶら)を摂取したマウスでは、腫瘍発生率が抑えられていました。
マウスA普通食
マウスB普通食+5%FBRA(ふぶら)
マウスC普通食+10%FBRA(ふぶら)
※FBRA(ふぶら)の摂取は移植の2日前から
次に、FBRA(ふぶら)が腫瘍形成を抑えるメカニズムを検討しました。今度は、皮下に移植すると必ず腫瘍が形成されるタイプの腫瘍細胞(QRsP-11細胞)を用いました。FBRA(ふぶら)を摂取しても、腫瘍のサイズは小さくなりませんでした。FBRA(ふぶら)には、直接的に腫瘍形成や増殖を抑える作用はないことが分かりました。
※FBRA(ふぶら)の摂取は移植の2日前から
細菌による感染・外傷など身体が有害な刺激を受けた時、傷害から体を防御しようと免疫応答が働きます。その際に生体に出現する現象を炎症と呼びます。主な症状には下記の5つがあります。
※(1)~(4)を「炎症の4徴候」、(5)を含めて「炎症の5徴候」とも呼ばれています。
マクロファージやマスト細胞は、傷害・異物を見つけると「炎症性サイトカイン」という物質を作ります。これを感知した血管上皮細胞には、血中の免疫細胞を呼び寄せる「シグナル」ができます。
「シグナル」に触れた血中の免疫細胞は、血管上皮細胞の間を通り抜け、傷害部分に集まり、有害物・異物を攻撃します。
生体内外からの様々なストレスにより、炎症が起こります。炎症が起きた細胞には「活性酸素」などが発生します。これらの物質は、遺伝子に異常を引き起こすため、がんを抑制する遺伝子にも異常を引き起こし、がんの発生に繋がると考えられています。さらに炎症時に作られる「炎症性サイトカイン」も、がんの増加や転移などを促進すると考えられています。
炎症から発がんに移行する例としては、潰瘍性大腸炎による大腸がん、肝炎ウイルスによる肝発がんなどがあります。