玄米と米糠(胚芽・表皮)を麹菌で発酵させた食品FBRA(ふぶら)の学術研究
FBRA摂取によるマウスの花粉アレルギー症状の緩和効果が示されました。
※この結果は直ちにヒトに適応できるものではありません。
FBRAのマウスに対する抗炎症作用
Anti-inflammatory effect of fermented brown rice and rice bran with Aspergillus oryzae on mice
Umeyama, L. et al., Tradit. Kampo Med., 8, 60-65 (2021).
花粉やハウスダストが原因で引き起こされるアレルギー性鼻炎は過度な免疫反応により炎症が起きている状態です。本研究では、ブタクサ花粉によるアレルギー症状 がFBRA摂取によって緩和されるかを調べました。
花粉やハウスダストなどの異物に暴露されると体は抗体を作ります (免疫獲得)。次に同じ異物が体内に侵入すると、抗原抗体反応が起きアレルギー誘発物質が放出されくしゃみが出ます。この実験では、マウスにブタクサ花粉の抗体を作らせた後、さらにブタクサ花粉の刺激を与えた際の、普通食群とFBRA食群でのくしゃみ回数の差を調べました。
ブタクサ花粉の刺激で増加するくしゃみの回数が、FBRAを予め摂取していると少なくなることが示されました。FBRAが過度な炎症を抑えていることが示唆されます。
花粉にずっと暴露されると、感作されくしゃみの回数が増加します。この実験では、普通食群とFBRA食群にコンスタントに花粉を暴露し、くしゃみの回数を比較しました。
花粉感作28日目に普通食群とFBRA食群に有意なくしゃみの回数の差が見られました。FBRAを食べていたグループはFBRAを食べていないグループに比べ、ブタクサ花粉暴露によるくしゃみの回数が少ないことが示されました。
細菌による感染・外傷など身体が有害な刺激を受けた時、傷害から体を防御しようと免疫応答が働きます。その際に生体に出現する現象を炎症と呼びます。主な症状には下記の5つがあります。
※(1)~(4)を「炎症の4徴候」、(5)を含めて「炎症の5徴候」とも呼ばれています。
マクロファージやマスト細胞は、傷害・異物を見つけると「炎症性サイトカイン」という物質を作ります。これを感知した血管上皮細胞には、血中の免疫細胞を呼び寄せる「シグナル」ができます。
「シグナル」に触れた血中の免疫細胞は、血管上皮細胞の間を通り抜け、傷害部分に集まり、有害物・異物を攻撃します。
生体内外からの様々なストレスにより、炎症が起こります。炎症が起きた細胞には「活性酸素」などが発生します。これらの物質は、遺伝子に異常を引き起こすため、がんを抑制する遺伝子にも異常を引き起こし、がんの発生に繋がると考えられています。さらに炎症時に作られる「炎症性サイトカイン」も、がんの増加や転移などを促進すると考えられています。
炎症から発がんに移行する例としては、潰瘍性大腸炎による大腸がん、肝炎ウイルスによる肝発がんなどがあります。