玄米と米糠(胚芽・表皮)を麹菌で発酵させた食品FBRA(ふぶら)の学術研究
FBRAの摂取は薬剤誘発によるマウスの皮膚炎を緩和することが示されました。
※この結果は直ちにヒトに適応できるものではありません。
FBRAのマウスに対する抗炎症作用
Anti-inflammatory effect of fermented brown rice and rice bran with Aspergillus oryzae on mice
Umeyama, L. et al., Tradit. Kampo Med., 8, 60-65(2021).
皮膚の炎症に対するFBRAの効果を調べた研究です。マウスの皮膚(耳)に薬剤を塗布して炎症を起こすと、皮膚細胞の異常な増殖が起き、皮膚の厚みが通常よりも厚くなります。
そこで、FBRAを食べていないグループ(普通食群)と飼料に10%のFBRAを混ぜて食べさせたグループ(FBRA食群)とで、皮膚に炎症を起こした際の皮膚(耳)の厚みを比べ、FBRAの炎症の抑制効果を調べました。
急性炎症モデルでも、慢性炎症モデルでも、FBRAを食べていたグループはFBRAを食べていないグループに比べ、耳の肥厚の抑制がみられました。このため、FBRAによる皮膚の炎症抑制効果が示唆されました。
TPAやIMQを塗布された皮膚は炎症性サイトカインが分泌され、炎症の特徴である「発赤」、「発熱」、「疼痛」、「腫脹」、「機能障害」などが起きます。
そこで、普通食群およびFBRA食群における、IMQを塗布された際の炎症に関連するサイトカイン(IL-17、IL-1β)や酵素(COX-2)の遺伝子発現量を測定し比較しました。すると、FBRA食群の炎症性関連物質の遺伝子発現量は、普通食群にくらべ少ないことが示されました。
細菌による感染・外傷など身体が有害な刺激を受けた時、傷害から体を防御しようと免疫応答が働きます。その際に生体に出現する現象を炎症と呼びます。主な症状には下記の5つがあります。
※(1)~(4)を「炎症の4徴候」、(5)を含めて「炎症の5徴候」とも呼ばれています。
マクロファージやマスト細胞は、傷害・異物を見つけると「炎症性サイトカイン」という物質を作ります。これを感知した血管上皮細胞には、血中の免疫細胞を呼び寄せる「シグナル」ができます。
「シグナル」に触れた血中の免疫細胞は、血管上皮細胞の間を通り抜け、傷害部分に集まり、有害物・異物を攻撃します。
生体内外からの様々なストレスにより、炎症が起こります。炎症が起きた細胞には「活性酸素」などが発生します。これらの物質は、遺伝子に異常を引き起こすため、がんを抑制する遺伝子にも異常を引き起こし、がんの発生に繋がると考えられています。さらに炎症時に作られる「炎症性サイトカイン」も、がんの増加や転移などを促進すると考えられています。
炎症から発がんに移行する例としては、潰瘍性大腸炎による大腸がん、肝炎ウイルスによる肝発がんなどがあります。